ベトナム事業

ベトナム・メコンデルタ

ベトナム南部に広がるメコンデルタは、世界有数の水産養殖・農業地域として知られています。
メコンデルタが有するチベット高原を源流とするメコン川は、中国、ラオス、カンボジアなどを経てベトナムへ流れ込み、多くの栄養分を運ぶことで、豊かな農業や水産業を支えてきました。

メコンデルタが抱える問題

近年、急速な工業化に伴う排水の増加や、上流域でのダム建設により水が止められたことで、水質の悪化が問題となっています。
水量が減ることで水質が悪化することはもちろん、今までのように汚れた水を流し、新しい水に変えることができなくなったため水質悪化がより進んでいます。

さらに、メコンデルタの水産養殖場から発生する
汚泥の処理も大きな課題です。
処理施設までの距離が遠く、運搬コストや労力が大きな負担となるため、効率的な処理体制の整備が求められています。

私たちの取り組み
遠心分離機を活用した汚泥の回収・処理・再資源化
メコンデルタ地域が抱える環境課題の解決に向け、養殖場で発生する 汚泥の回収・脱水・再資源化事業に取り組んでいます。
レンガへの再利用

ベトナムではレンガの生産が盛んな一方で、原材料となる粘土の価格高騰が課題となっています。

そこで、ベトナムの大学と共同で汚泥を約30%配合した レンガの開発に取り組みました。 さらに、自然な色味を実現するため信楽の工業技術センターと 連携し、赤みの強いレンガを実現させました。

完成した試作品はベトナムのレンガメーカーにも評価いただき、 商品化が実現しました。

大学と制作したレンガ

赤みを強くしたレンガ

培養土への再利用

有機物量の多い汚泥は、現地のバイオセンターと連携し牛ふんやもみ殻と混合し、培養土として再利用しています。

また、ベトナムにある商社から無洗米を製造する際に出る米のとぎ汁の処分に困っていると相談を受け、汚泥と米のとぎ汁を混ぜた培養土も開発しています。

完成した培養土で実証実験も行い、化学肥料を30%抑えながら農作物の成長スピードをそのまま維持できることが明らかになりました。

商品化した培養土

とぎ汁と汚泥からできた培養土

遠心分離機を活用した汚泥の回収・処理・再資源化
酸素等の気体を水中に効率よく溶解させることが可能な旋回式のナノバブル発生器を活用し、
メコンデルタで養殖が盛んなティラピアやパンガシウスの養殖技術の研究・実証に取り組んでいます。
ベトナムでのパンガシウス・テラピア等の養殖ではメコン川の水を使用しますが、
近年の環境変化により水質悪化が急速に進行しています。
ナノバブル発生器とは
水中に目に見えないほど細かな気泡を作り出す装置です。
泡がとても小さいため水中に長くとどまり、魚へしっかりと酸素を届け続けることができるため、成長スピードの
向上や、生存率の向上、水質改善につながります。
新鮮な空気を常に送ることができ、コストも削減
ベトナム事業で使用するナノバブル発生器は、水中の空気だけを循環させる一般的な発生器とは異なり、外部から新鮮な空気を自ら吸い込む「完全自吸式」です。 外付けのポンプは必要なく、養殖場にあるポンプに取り付けて使用することが可能であり、ナノバブル発生器の内部構造もシンプルなため、他社製品に比べ低コストで導入が可能です。

実証結果

パンガシウスの養殖にて、ナノバブル発生器を使用しどのような変化があるかアンザン省のロンタックで実証試験を行いました。
稚魚の状態から40日間観察し、大きさと重さを計測。
実証結果では縦5m、幅50m、深さ1.5~2mの池にネットを3つ張り、その中で育った魚の平均を求めています。
Group 34
私たちと一緒にベトナム事業に参画しませんか?
ベトナムの環境問題解決には、私たちだけではなく、
多様な技術や知見を持つ企業や 研究者の方々の力が必要です。
これまでの私たちの取り組み

・株式会社リバネスと業務提携し、
ベトナムにおける環境ビジネスの
創出を推進

・メコンデルタビジネス分科会を
立ち上げ、企業・研究機関との
ネットワークを構築

・現地企業と連携した
実証実験・技術検証を実施

ご興味をお持ちの方は下記「しが環境ビジネス推進ネットワーク」特設ページよりお問い合わせください。

特設ページはこちら
沿革
1990年代半ば

ベトナム投資ブームの中、新規事業の可能性を模索していた社長・井之口二三雄が現地を訪問。
現地通訳ガイドとの出会いをきっかけに、ベトナムでの事業展開を決意。

1999年

有限会社アジア交易を設立。

2000年

ベトナム・ホーチミン市に現地法人 ASIA TRADING CO., LTD. を設立。

2000~2002年

日本から中古建設機械を輸出し、ベトナムから雑貨を輸入する貿易事業を展開。
受注が相次ぎ、順調に事業を拡大。

2003年

ベトナムブームに陰りが見え始め、陸路を使って安価に中古建機を持ち込む韓国企業の台頭などにより国際競争が激化。

2007年

国際競争に加え、現地パートナーによる資金の無断転用など管理上の問題が発生し、ベトナム事業から一度全面撤退。

2010年

常務取締役 井之口哲也氏(現・有限会社ヴァンテック代表取締役)が入社。
立命館大学発ベンチャー企業と共同開発した自動車燃費向上キットなどで海外販路開拓を開始。

2012年

地元栗東市の姉妹都市である湖南省衡陽市とのつながりの中で役人の伝手で北京の科学技術企業を紹介され、2012年から中国の代理店と交渉を開始。1年間の交渉を経て契約を締結し中国市場へ進出。
2013年には約3,000万円、2014年には約4,000万円の輸出額を達成。

2014年

ベトナムで環境事業を展開するため、約1年間市場調査を実施。
水質汚染などの環境課題は確認できたものの、すぐには事業化できないと判断。

2015年

中国の環境保護法改正により、北京市内にガソリン車が事実上入れなくなるなどの規制急変が起き、以降の取引が突然ゼロになる。

2016年

滋賀県の補助金を活用し、遠心分離機の開発に着手。
「現地で汚泥を脱水できれば輸送コストを大幅に削減できる」と考え開発を進める。
社員の協力を得て試作するも失敗に終わる。

2017年

遠心分離機を活用した汚泥処理技術で「滋賀テックプランター」に出場し、リバネス賞を受賞。
これを機に株式会社リバネスとの連携が始まり、
文部科学省関連事業を通じてベトナムで環境教育・実証活動を実施。
ベトナム国内で活動資金を自給自足する事業を作るため、
ベトナム市場で1年間釣具事業のテストマーケティングを開始。

2018年

ベトナム法人 VANTECH VIETNAM Co., Ltd. を設立し、「タックルベリー ベトナムホーチミン店」を開業。
また、関西の若手起業家と共にベトナム進出イベントを開催し、
地方行政や大学(ヒューテック大学など)とのネットワークを構築。
現地大学からのインターンシップ生の受け入れを開始し、機械工学や微生物研究の専門学生を日本に招いて
環境人財の育成にも着手する。

2019年

トンドゥックタン大学・アンザン大学のチャウ・ティ・ダー教授との出会いを通じ、
メコンデルタのパンガシウス養殖池から発生する大量の汚泥問題を知る。
ダー教授の友人の養殖場でも汚泥処理に困っていることを聞き、現地での協力を開始。
12月にはアンザン省政府関係者との会議に参加し、汚泥回収事業について契約締結へと進展。

2020年

12月の訪問を最後に、新型コロナウイルス感染拡大により約2年間現地活動停止を余儀なくされる。

2022年

遠心分離機を用いた汚泥脱水の実証試験を開始。しかし、脱水後の汚泥の処理方法が現地に存在しないという新たな課題ができる。
当初は汚泥の有機肥料化を検討したが、分析の結果、有機物量が想定より少ないことが判明。
用途を再検討し、汚泥をレンガ原料として再資源化する研究を開始する。

2023年

汚泥のレンガ化に向け、トンドゥックタン大学との共同研究を開始。
試作したレンガをレンガメーカーへ持ち込み評価を受けたところ、「赤みが不足している」という課題が判明。
赤みの強いレンガの開発を目指して研究を継続することに。

2024年

日本の工業技術センターとの共同研究により、レンガの色味の改良を実施。
あわせて、アンザン省バイオセンターと連携し、汚泥を活用した農作物用肥料を商品化した。
さらに、お米のとぎ汁を活用した肥料の開発や、ファインバブル技術を活用した養殖活性化の実証試験を開始。

2025年

株式会社リバネスとベトナム進出支援に関する連携協定を締結。
汚泥の再資源化事業がJICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業(案件化調査)」に採択される。
汚泥を活用したレンガの商品化、ファインバブル技術の実証、汚泥とお米のとぎ汁を活用した肥料の栽培試験を実施し、資源循環技術の事業化を推進。

2026年

しが環境ビジネス推進ネットワーク内に「メコンデルタビジネス研究分科会」を立ち上げ、
日本国内企業の現地進出及び現地とのネットワーク構築をのサポートを通して環境課題解決を図る。

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